いまさら聞けない相続税の仕組み

いまさら聞けない相続税の仕組み

相続対策の専門家が相続問題をさまざまな面から、分かりやすく解説する相続知恵袋です。なかなか人には聞けない相続問題。あなたにとって目からウロコが落ちる回答がきっとあります。毎月発信しておりますので、ぜひご覧ください。

法廷相続分と遺留分

Q1
長男に遺産の全部を相続させるという遺言を残し、父が亡くなりました。嫁に行った私(長女)には何もないのが、どうしても納得できません。

 

遺言書によってどう財産を処分するかは本人の自由です。長男に全部の財産を相続させるというのも、赤の他人に財産を相続(遺贈)するという遺言書も原則として有効です。

しかし、それでは相続人として納得いかないのは当然です。

 

そこで、民法は「遺留分」として遺言によっても奪うことができない相続財産に対する割合を定め、遺留分を侵害された相続人は、余分に財産を取得した相続人や遺贈を受けた人に対し、侵害された遺留分に相当する財産を渡すように請求できます。それを「遺留分減殺請求」と言います。

 

遺留分の侵害をめぐる紛争は、遺言に関する紛争として最も多いもののひとつです。遺言書を作成するに当たっては、遺留分を害さないように配慮することが、後の紛争の予防につながります。

 

 

 

 

 

 

Q2
兄は昔から、親から大学進学費用や留学費用・経営している会社の開業費用などの援助を受けておりますが、私は高卒で、今では普通のOLです。これって相続では、考慮されるのでしょうか。

 

相続人の一人が生前あるいは、遺言によって財産の贈不を受けている場合、相続分の算定においてそれを考慮しなければ、相続人の間に不公平が生じます。

 

そこで、民法は、一定の贈不を「特別受益」と定め、特別受益の価額を相続開始の財産に加算し(これを“持ち戻し”といいます)、その合計額をみなし相続財産として、それを基準に具体的な相続分を算定することを原則としています。
質問のような、兄だけが大学費用や留学費用・商売の資金援助、または、不動産の贈与などは、特別受益に該当します。

 

ただし、被相続人が生前あるいは遺言によって、持ち戻しを免除する意思を表示した場合は、持ち戻しは行われません。それだけでなく、相続人の一人に生前贈不を行っているにもかかわらず、それを考慮することなく遺言で相続分を定めたような場合などは、持ち戻しの免除の意思があったと認められることがあります。

 

株式会社船井財産コンサルタンツ熊本 岡村泰